煮玉子

楽の多い生涯を送っています

私は特別な男の子です

 「若者言葉」というものは面白い。誇張のなかにも娯楽性が含まれており当時の流行を批判してたり、発音が特殊で耳目を引く。発生源の特定が難しく、芸能人や今で言うインフルエンサーが使ったことを皮切りに流行ったものもあれば未詳のものもある。こういった新しく生まれた単語の中には思わず使ってみたくなるようなものが多数存在するが、使う際には十分に意味を調べたうえで使用してほしい。今回はその工程を怠った私の失敗譚だ。

 

 「若者言葉」というものは前述したとおり流行ったものであり、そこから当時の、現在の時代背景を読み取ることもできる。しかし、私含めたもう良い年した大人は理解したからと言ってJKとのコミュニケーションに使おうなどといった浅はかな考えは逆効果であるので共に耐えようではないか。私らが使っていいのは、せいぜい「フロリダ」(風呂で離脱する)くらいまでである。

 

 現在の若者言葉を調べてみると、おおよそは”特定の集団内で扱われていたものが何らかの理由で若者内で流行し用いられたもの”が多い。

 例えば「尊い」などはもともとアニメや漫画などのサブカルチャーが好きな人が使っていた単語だが今や若者言葉にも分類されるほど若者にも使用されている。

 「00,01,02...世代」この読み方がわかるだろうか。「ゼロゼロ、ゼロニ、ゼロサンせだい」と読む。今の若者は自己紹介するときに生まれ年をこう表現することが多い。私は2000年生まれなので「00世代」となるわけだ。

 

 そしてもう一つ、2000年生まれには呼び方がある。「ミレニアムベビー」だ。英語の千年紀、千年間を意味する”millennium"から来ている。今でこそこの言葉の意味をしっかり理解している私であるが、当時中学生の私は「なんか響きのかっこいい単語」程度にしか理解していなかった。響きは格好良かったのでみんなに自慢しようと自分がその存在であると言いふらした。ただ一つ、当時の私は英語があまりできず、間違った説明をしてしまっていたのだ。

 

 自分が「プレミアムボーイ」であると

 

 それはもう言いふらした。同級生、先生、親、親戚。今思えば同級生もほとんどが2000年生まれなのに。しかも、まだ「プレミアムベビー」という間違いなら気づく人もいたかもしれないが、ボーイと言ってしまったため気づく人もいなかった。ピエロ完成の瞬間である。というか、もともと中二病拗らせてピエロだったため拍車がかかった感じだろうか。中二病といっても私は生まれ変わりであるとかそういう感じではなかったので、無事にその枠が埋められ、完全体中二病が完成した。

 

 この勘違いに気付くのは大学生になってからで、中二病で生み出した黒歴史清算された高校生の後に来たので今でも普通にダメージを負い続けている。

 

 言葉というものは常に変化し続けている。そして時代の変化に伴い新しい単語も生まれてくる。私たちはその変化を読みとり柔軟に対応していかなければならない。私のようなピエロを生み出さないように。